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政務活動報告:第19期自治政策特別講座「予算議会に備える」

19期自治政策特別講座
「予算議会に備える」 2017.2.22.3 神奈川県民ホール
1講義「自治体の長期ビジョン策定と議会の役割」
     総合的な計画審議のあり方 
     牛山 久仁彦 明治大学政治経済学部 教授
総合計画(自治体の長期戦略が明らかにされる)に議会がどのように関わるのか?が問われる。地方自治では地域の課題を解決する使命がある。分権一括法では、法定受託事務であっても議会で審議して良くなった。(1条第2①項「地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。(設置義務)」)しかし現場では今でも国の縦割り行政の慣習のなかで、総合的ではない。
 自治体政治は共和主義(住民が直接選択する)である。「二元的代表民主制=機関競争型」
自治体の計画=自治体の将来を計画する(総合計画から各分野計画)。そのため、議会の関与が重要である。
2講義「改正された介護保険制度―予算審議の焦点は」
    鏡 諭 淑徳大学コミュニティ政策学部 教授
介護保険制度とは介護福祉制度ではない。給付と負担のバランスをどうするかが重要である。給付の縮減と負担増のトレンドの環境下で、狭間を女性や退職後の高齢者の活用により埋める「地域包括ケア」が求められている。
保健制度は、保険料を納めることによってサービスを受ける権利を得る(普遍的な制度)ことであり、福祉制度は限定的なものである。保健者7700万人に対し、利用者が605万人。92%が負担のみの状態であることを認識しなければならない。
年間10万人の介護離職者が生まれ、290万人が働きながら介護をしているなかで、給付水準が削られると、更なる離職者増がもたらされる。介護保険の改正(2015年第6期)によりサービスを見直し、地域で頑張れ!と言っている。
 総合事業の実情は、事業者が負担増。多様な主体は15.5%で低調。地域支援事業も給付管理をしないといけないので大変。課題は、報酬や委託料の払い方、実施指導や事務監査、個別サービスの金額等の項目等を要綱で対応しているが、条例化する必要がある。更に、利用者への不安解消のためには、権利関係を明確化する必要がある。
2018年改正をむけた議論では、「給付を少なくする。社会増の6400億円を5000億円に圧縮する」方向性が示されている。これにより、介護報酬だけで生活援助が賄えなくなるなかで、自治体間格差が生まれる。要介護1,2のスタートは認知症。ここにボランティアが関わることが本当に大丈夫なのか。社協や直営のサービスが求められることが予見される。
3講義「再生可能エネルギーの地域経済効果―地域継続可能性の確保とは」
    倉坂秀史 千葉大学大学院人文社会科学研究科 教授
持続可能性を巡る状況、人口減少・高齢化のインパクトが激大。これにより社会インフラの更新が困難になる。一人当たりの維持経費における地域間格差が広がる。人口が減ることによってインフラは花火のように薄くなって消えていく。人工林を維持するには60万人必要(現在5万人)。人口減少下で各種資本基盤をいかに維持更新する、費用を生み出すのか、ストックを戦略的に削減していくのかが求められる。
資本基盤管理原則、閾値がある。踏み越えないように手入れする必要がある。
産業、域外に顧客を持ち外部から域内に収入をもたらす産業(成長部門)と資本基盤の手入れを行う持続部門。自治体はこの持続部門を支えなければならない。
産業構造シミュレーターにより将来の想定をして対応を図る。中高生による「未来ワークショップ」の開催(やちよ未来ワークショップ=125万円で)。
エネルギー、排熱を徹底的に排除する分散的エネルギー供給構造に変わる必要がある。
ダイナミックプライシング、電力需給を把握できる次世代電力系(スマートメーター)の設置により実現(2020年代)。都市計画の中でエネルギー供給を位置づける。熱電管の設置やトランスヒートコンテナなどを計画(岩手県紫波町オガールタウン)。
これまで域外に支出をしていたエネルギーを取り戻せる(21万円/世帯)。再生可能エネルギーは地方創生のカギである。(群馬県中之庄町、岩手県住田町、真庭市等、飯田市の再エネ自治体条例を参考)。http://kurasaka.world.coocan.jp/
参照
持続期の経済社会での経済指標は、人口資本、自然資本、人的資本、社会関係資本。
フローマネジメントよりもストックマネジメント。
 
4講義「わかりやすい公会計の基礎―公会計の発祥と現状」
    亀井孝文 元 南山大学総合政策学部 教授
法体系はフランス式、カメラル簿記(ドイツ)=予算と執行額を一つにまとめる を採用。
現行制度の問題点、現金と物が一致しない。会計区分、一般会計(共通の財政)。現金主義・発生主義(几帳時の確定時の価値計算)、実態は現金収支会計である。
予算に対する決算の取り扱いが軽視されている。
予算編成時にはフルコストで編成すべき。減価償却と建設公債主義の溝がある。
前年度予算編成時に単コロがあったのかどうかチェックする。出納整理期間の問題。
地方公監査=アングロサクソン系(保障型監査)
5講義「自治体ICTの意義とコスト 予算審議のチェックポイント」
    小林 隆 東海大学政治経済学部教授
基幹フレームからの脱却をしなければならない。
現代は情報・知識を誰でも手に入れられる環境となった。「最近気づいていないことに気づき」、自分の関心のある経験による検索(外部参照系)と外部入力系による気づき(入力系)の両方が必要。これにより不確実性の低減が図られる。
ネットワークの3つの性質 ・クラスター性・スモールワールド性・スケールフリー性、クラスターを守りつつ適度なスケールフリー(成長)性を発揮させる 性質がある。
日本の地方を観ればこれから起こることが予見できる。そのために情報自治のためのシステムを活用する必要がある。
自治体ICTとセキュリティ、メーガン法から考えるべきことは、必要性を社会が認めたならば、プライバシーに関わる個人の利益、不利益の発生を予見しながら個人情報を提供する範囲を明文化して運用するしかない。

効率性のシステム予算より、負の分配に備える予算にしなければならない。

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