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視察報告:富山市、飛騨市、大東市

 7月31日から8月2日にかけて、高松市議会公明党議員会派の視察を行いました。

①「富山市のコンパクトシティ戦略による富山型都市経営の構築」
②「富山型デイサービス」
③「飛騨市の電子通貨・さるぼぼコインの活用」
④「大東市家庭教育支援事業」

①「富山市のコンパクトシティ戦略による富山型都市経営の構築」について

 私を含め3名は16年前に、新幹線の開通前、南北の接続が出来る前で「これからこんな街にしていきたい」とのビジョンを伺っていました。今回、新たなメンバーも加え、改めてその取り組みとその成果を観て感心させられました。
富山市では、歩いて暮らせる環境を整えるために、公共交通(電車・バス)の乗り場から半径750m範囲内への居住者を増やすために、公共交通沿線居住推進地区を設定し、その居住人口の目標を設定しています。そしてその施策を推進するために公共交通の整備や居住支援など様々な事業を行っています。2005年時28%から2025年に42%に向け概ね達成しようとしていることには感心しました。このことは令和元年12月議会でも取り上げ、高松市のコンパクト・エコ・シティーへの取り組みでも用いるよう求めています。
富山市では年間約10億円をコンパクトシティ施策に投じていますが、公共交通利用状況や先の居住人口など様々なデータを明示し、その効果を市民にも理解いただけるよう努力をされています。都市整備面だけではなく、「とほ活」など歩いて健康増進に繋げる取り組みも行われ、医療費削減(10億円以上)のエビデンスも示すなど、市の都市政策だけの取り組みではなく、総合的に戦略を持って都市経営がなされていました。

②「富山型デイサービス」について

 高齢者と障害者、子供たちが一緒に暮らすデイサービス。利用者を区別をする「くくり」はいらないとの理念。キーワードは「小規模・共生・地域密着」。まるでお盆や正月に親戚が集まった感じで、地域に密接な関係を築いていました。
富山型の特区制度から生まれた「共生型サービス」はその後、全国展開されました。また、富山地域共生型福祉推進特区から、福祉的就労の場として利用。施設外就労先としても活用されており、特別支援学校卒業後の働く場ともなっています。
民間の熱意から始まったこの制度、行政は、ハード面での施設整備を補助。コンパクトシティとの整合性で中心市街地では手厚く補助をしていました。ソフト面の人材育成でも援助。民間主体の富山ケアネットワークにより事業者間の情報共有もあり、理念が脈々と息づいています。
残念ながら高松市では、この共生型サービスが広がっていません。
質問をすると「やりたい」が原動力。「起業家育成講座は現在リモートでも参加可能なので是非ご紹介してください」との事。また、誰でも見られるスキルを身につけるカリキュラムがないことが課題とも教えていただきました。

③飛騨市「電子通貨 さるぼぼコインの活用」について

 飛騨信用組合が2017年にスタート。キャッシュレス決済と地域を支える通貨で、チャージ金額の1%がポイント、年間チャージ額のうち一定額を行政に寄付している。費用負担は0、払い戻し手数料1.5%から1.8%(税別)が必要。現在、より地域内の経済循環を促進するために、B to Bも推進。(まだまだ進んでいないが)送金手数料として0.5%必要。
行政は開発、運用コストは0で利用促進を担う、信用金庫は、流通額の増加と新規顧客の獲得でwin-winの関係。飛騨市内の加盟店は6割に及ぶ390店舗、市民の4人に一人が利用している。2018年には、税務窓口などで支払いが可能、2023年よりQR決済も可能に。
関係人口創出のために、フアンクラブや「ひだすけ」による助け合いを支援するためにさるぽぽコイン(500p)市が援助。その他、健康ポイントやイベント参加、移住支援金にポイントを付与し、地域内での消費を促す。カードにチャージ用のQRコードで入金。職員のDX化にもつながる。
コロナ禍において、大いに力を発揮。特別定額給付金が地元の消費喚起に力を発揮。紙の商品券とは違い、スピードと低経費で実施。全体流通額12億円の内、2億3千万円がコインで実施。全体3億5千万の消費がなされていました。観光客減少で打撃を受けた土産物業者を支援するために20%のポイントバック。期間を長く設定すると日常使い(スーパーでの買い物)になるため、短期で実施した。
今回の視察前に地元の地域通貨(ポイント)「めぐりんポイント」の取り組みを学び、いただいた書籍も読んで学びましたので、大きな成果となりました。
高松でも実現するように努めて参ります。

④「大東市家庭教育支援事業」について

 大東市の教育長は、私が2014年の頃から何度も参加した議員向け研修会で講師を務められていた、水野達朗さん。当日も校務の合間を縫ってご挨拶に駆けつけて下さいました。かつて研修会で語られていた事を実際の現場で実現されているとあり、観に参りました。
子どもの教育について教育基本法では、第一義的責任は保護者あるとし、それを支えるために行政も、保護者に対する学習の機会や情報の提供など支援に努めるとされている。
大東市は他の地域と少し違い学力向上からスタート。荒れていた教育環境を変えるために家庭の協力も必要として、学校教育部で支援事業を開始された。

特徴1:家庭教育支援チーム「つぼみ」を体系化。

 特に相談・訪問チームを設け、児童・保護者へのアウトリーチを行っている。小学校ごとに開催し、スクール・ソーシャル・ワーカー(SSW)と養成講座を受講された市民サポーターで担っている。また、SSWは10名で週4日勤務(会計年度任用職員)、家庭教育支援チームのマネジメントも行っている。このSSWの配置を家庭教育支援チームにとする機構改革を行っていることが特徴。さらなる家庭教育支援を行うために、小学校1年生(4月〜5月頃)、4年生(9月〜10月頃)に状況把握調査を実施。
大東市のアウトリーチ型支援の特徴として、問題発生した課題対応型(対象を絞り込んだ)ものではなく、予防型として小学校1年生の全ての家庭と限定して実施していることである。義務教育9年間の始まりに、学校や地域とつながる流をつくられています。令和4年の実績で841件の内51件の課題を発見し、ネウボランドだいとうに連携、課題解決に向けています。

特徴2:サロン型支援

 孤立の未然防止や地域とのつながりづくりのため、当初は学校で開催していたサロン。しかし中々参加が広がらないことから、応援企業を募り「家庭教育応援企業登録制度」により企業・団体のノウハウを活用し、多様な「いくカフェ」(1団体20万円を上限に8団体)を開催。相談が必要な方には「ネウボランドだいとう」の相談・訪問チームに繋げている。民間連携 115社、アクションプラン10の内2つを達成することを目指し、登録。企業のメリットとして①企業イメージの向上②社員の家庭教育の充実③会社のことを知ってもらえる④人材雇用につながる⑤職場体験の受け入れを活用した社員研修の実現。が挙げられる。

 水野教育長の熱い想いが皆で共有され、具体的に実施されている様子を伺い、とても励みになりました。

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