高松市9月定例議会での一般質問報告(要約)
2024年9月12日(木) 一般質問の項目
1.賃金と物価の好循環の推進について
(1)本市の委託料や補助金における賃上げを推進する考え
(2)指定管理者制度における「賃金スライド」を導入する考え
(3)中小企業の賃上げを推進するための具体的な取り組み
2.デジタル化・DXの推進について
(1)庁内のAI活用を加速化する考え
(2)中小企業のDX支援を強化する考え
(3)公共施設予約におけるキャッシュレス化・DXを進める考え
3.放課後FACT-ory の取り組み推進について
(1)地域学習プラットフォーム構築に向けた市長の決意
(2)教育長の所感
(3)事業の成果指標と期待される効果
1.賃金と物価の好循環の推進について
日本銀行は、長年続いた異次元金融緩和政策から転換し、今年3月に政策修正、7月に政策金利を引き上げました。これは、物価目標達成に向けた一歩であり、金利のある社会への移行を意味します。株式市場は大きく変動していますが、今後は賃金と物価の好循環を生み出し、経済全体を活性化させることが重要です。
(1)本市の委託料や補助
金における賃上げを推進する考え
昨年12月の議会で、私は市の委託・補助事業における賃上げを訴えました。財政局は賃上げを考慮すると回答しましたが、実際の予算では賃上げが反映されていない事業が見られます。これは、財政局の意向が各課に十分に伝わっていない可能性があります。来年度予算に向けて、現状を正確に把握し、賃上げが実現できるよう、より具体的な対策を講じるべきです。
A.財政局長の答弁
7年度の予算編成に向けて、賃上げや物価高騰の影響なども考慮しつつ、限られた財源の効果的な配分に努める。
(2)指定管理制度における「賃金
スライド」を導入する考え
物価高や人件費上昇など、指定管理事業者の経営環境が厳しくなる中、高松市でも賃金スライド制度の導入を検討すべきです。政府の最低賃金引き上げ目標を踏まえ、今後大幅な人件費増加が見込まれます。横浜市や新潟市など、多くの自治体が賃金スライド制度を導
入し、その効果を検証しています。本市でも、同様の制度を導入することで、指定管理事業者の経営安定化を図り、市民サービスの質の向上に繋げることが期待できます。
A. 財政局長の答弁
「賃金スライド」の導入はしないが、賃金や物価などの推移に注視し、各施設の指定管理者が適切に管理・運営できるように努める。
(3)中小企業の賃上げを推進するための具体的な取り組み
本市の中小企業の賃上げ促進のためには、価格転嫁の円滑化が不可欠です。国では様々な支援策が実施されていますが、市内の周知は十分とは言えません。価格交渉促進月間など、国や関係団体の取り組みを市民に広く知ってもらうため、分かりやすいロゴマークを作成するなど、より積極的な広報活動が必要ではないか。
A.創造都市推進局長の答弁
価格転嫁を強く推奨する姿勢を示しながら、その理念が広く浸透するよう市内の中小企業などが活用できる制度や「価格交渉促進月間」などの取組に関する情報発信に更に積極的に努める。
2.デジタル化・DXの推進について
賃上げを実現する上でも、社会の生産性を向上させるための手立て、デジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が不可欠です。
(1)庁内のAI活用を加速化する考え
生成AIは自治体業務の効率化に大きな可能性をもたらすが、データ整備、セキュリティ、倫理など課題も山積している。本市では、チャットツールへのAI導入が進んでいるものの、職員の活用状況は低迷しており、AIへの不安や誤った情報生成(ハルシネーション)などが原因と考えられる。他自治体では、住民サービス向上、業務効率化、地域活性化など、多岐にわたる分野でAIが活用されている。本市でも、トップが率先してAI活用を推進し、職員への研修やインセンティブ制度を導入することで、AIリテラシー向上を図るべき。また、ハルシネーション対策として、RAG技術やファインチューニングの導入が有効と考えられる。AI活用を成功させるためには、計画的な推進体制の構築が不可欠です。
A.総務局長の答弁
今後、外部の専門家による研修の実施を検討するほか、新たな機能追加の情報を積極的に周知するなど、より多くの職員に利用されるよう、生成AIの活用を推進する。
(2)中小企業のDX化支援を強化する考え
本市では、中小企業のデジタル化・DXを推進するため、様々な支援策を実施しています。補助金や相談窓口の設置、デジタル化に関する情報の提供などにより、多くの事業者がデジタル化に取り組むようになりました。しかし、人材不足など課題を抱える中小企業も多く、特に無料相談の利用が進んでいない状況です。今後は、より多くの事業者に情報が届き、支援が行き渡るよう、さらなる取り組みの強化が必要です。
A.創造都市推進局長の答弁
市内の中小企業の課題を把握するとともに、DXがより一層促進されるよう、「ITパスポート等取得支援補助金」の周知徹底など、効果的な支援策の充実に努める。
(3)公共施設予約におけるキャッシュレス化・DXを進める考え
本市はデジタル推進部を設け、デジタル化を進めていますが、公共施設の予約システムは、インターネットでの仮予約後も窓口での現金支払いが必要なため、利用者と施設管理者の双方に不便が生じています。クレジットカード決済やQRコード決済への対応、インボイス制度への対応など、DX化が遅れている状況です。
A.総務局長の答弁
今後利用者のニーズや施設側の意見も踏まえ、関係部署との連携の下、公共施設予約におけるキャッシュレス化やDXへの対応を検討する。
3.「放課後FACT-ory」の推進について
高松市の「放課後FACT-ory」は、子どもたちに地域の企業や文化に触れる機会を提供し、学びの選択肢を広げることを目指す取り組みです。地域企業との連携によるワークショップなど、すでに成果を上げていますが、より多くの学習機会や体験を可視化し、子どもたちが自由に選択できる環境を整える必要があります。デジタル技術を活用し、地域学習のプラットフォームを構築する構想がありますが、課題も多く残されています。この事業は、高松市の未来を担う子どもたちの学びを深めるための重要な取り組みであり、市長や教育委員会が一体となって、市民と共に成功に導く必要があります。
A.市長の答弁
改めてこのプラットフォームの教育分野における新しい学びの取り組みとしての重要性を認識した。この事業で掲げる目的の達成のため、教育委員化と緊密な連携を図りながら、子どもたちが興味を持つような幅広いコンテンツの更なる充実を図るなど、積極的に推進したい。
A.教育長の答弁
本市の将来を担う子どもたちが発達段階や個々の興味・関心に応じて様々な体験ができるように、教育面からの提案を行うとともに。総合的な学習の時間など、学校現場における活用についても検討したい。
A.総務局長の答弁
現在の成果指標は、地域学習プラットフォーム利用者数や、地域コンテンツプログラム数を設定している。この事業の広がりにより若年層の地域への理解が深まることで、シビックプライドの醸成や関係人口の創出などにつながるほか、地域企業の人材確保へのHじゃ急降下も期待される。事業を着実に推進したい。