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議会質問から② 「未来を担う人づくりについて」

平成29年高松市議会第3回(6月)定例議会の代表質問から
今回の代表質問は、情報技術や科学技術の劇的な変革により大きく様変わりを遂げようとする中で、10年後、20年後の高松の未来に焦点をあて「まちづくり」やそのまちづくりを担う「人づくり」など大きく9項目にわたり質問をしました。

大項目9 未来を担う人づくりについて

この春に目にした、県内の2つのニュースが心に引っかかっていました。一つは、四国新聞が県内200社に行ったアンケート調査で、業績が良く採用拡大を続けても人手不足を解消できない実態が明らかになったとし、人材難の深刻さを伝えるものでした。二つ目は、香川労働局のまとめで県内高卒者の4割が3年以内に辞め、その半分はわずか1年で離職をしており、その理由は「仕事が合わない」「条件が不満」が目立つというものでした。いくつものミスマッチが、私たちの住む高松市で起こっているのです。
 私たちは往々にして私たちが過ごした経験を基に、子供たちを指導しているのではないでしょうか?私たちの経験したことは、私たちの親や祖父母が経験してきた道でした。しかし、子供たちが今立たされている社会、これから生きる社会は私たちが経験してきた社会とは大きく違ったものとなろうとしています。一生懸命真面目に勉強して良い学校に進めば良い企業に就職でき、「終身雇用」、「年功序列」、「企業内組合」という日本的経営に守られ、幸せな人生を歩むことができるとの幻想は既になくなっているのです。経済・産業界は20年以上もまえの1995年に「新時代の日本的経営」として、その雇用形態を「長期蓄積能力活用型グループ」「高度専門能力活用型グループ」「雇用柔軟型グループ」の3つに分けると発表しているのです。一部の幹部候補生以外は終身雇用ではなくなるというものなのです。現に社会に羽ばたいた若い人の4割近くが非正規雇用となってしまっているのです。そして情報化社会や人工知能の発達による激変が迫っているのです。
 しかし、2015年の家計調査によれば、高松市の家庭は塾への出費が全国の2倍とのデータが示しているように、親の意識は相変わらず「良い学校を出れば」との意識が強く、現状の社会環境と大きく隔たりを見せています。今年の小学校の卒業式に参加して頂いた栞に、子供たちが将来なりたい職業に「ユーチューバー」と書いている子が4人もいて驚きました。子供たちのほうが柔軟に社会を見ているのかもしれません。
このような変化の中で、一人一人が「生きる力」を身に付け、将来直面するであろう様々な困難に、柔軟かつたくましく対応する力を高めることが重要な課題となっています。それ故に、社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てるキャリア教育の推進が強く求められているのです。こうした状況を踏まえ、文部科学省では平成277月の中教審における論点整理を受け、学習指導要領の改定に向け、すべての教科等の内容改善においてキャリア教育に関する資質・能力を培うことを意識するとともに、小・中・高等学校のそれぞれの総則にキャリア教育の視点を明示する方向で検討が進んでいます。
 高松市の教育指針でもキャリア教育の推進を明示し、様々な取り組みを行っていますが、これまで述べてきた深刻さやリアリティを持って、指導がなされているとは言えません。総合学習の中での職場見学や体験学習を実施することで精一杯なのが現状です。国立教育政策研究所が平成24年に実施した「キャリア教育・進路指導に関する総合的実体調査」では、キャリア教育の重要性やその効果が学習意欲の向上につながることの認識は高いものの、キャリア教育に関する研修会の実施があまりなされていないことやキャリア・カウンセリングの活用方法が分からない、評価の方法が分からないとする結果が示されています。本市では進路指導部会での情報交換や指導を行っているようですが、十分ではないと考えられます。
 また、本市では昨年「高松子ども宣言」を掲げ「ふるさと教育」の推進も行っております。しかし、地域の伝統文化を学んだり、「寛学」などを通し郷土の偉人を学ぶ学習となっていますが、今求められるのはこれからの高松で暮らすことの魅力であり、豊かさを伝えるいわゆる「高松教育」なのではないかと考えています。

このようなことから、未来を担う人づくりにおいて今行われている「キャリア教育・ふるさと教育」を改善するように指摘しました。

学校教育の現場だけで「キャリア教育」を担えるものではありません。私はこれまでキャリア教育への取り組みは、地域を挙げて推し進めるべきとして繰り返し議会で取り上げ、高松市こども未来館を拠点として実施することを提案して参りました。
今年の3月、いろいろな仕事が体験できるイベントとして「おしごとスタジアム2017」が開催され、2000名を超える参加を得て大盛況だったようです。こども達があこがれの仕事にチャレンジし、楽しみながら社会のしくみを学ぶことができる「こどもが主役の街」として大人気のキッザニアのミニ版となる取り組みで、今後も継続発展させていくことを強く望んでいます。第1回目となったこのイベントは、プロポーザル方式で市内の職業専門学校が提案し実施されたもので、19職種のおしごと体験が行われておりました。短期間で良く準備ができたと感心をしますが、この体験する仕事のパートを直接地域の事業者が担えるなど、市内の商工業者団体や青年会議所などが参画して取り組めるようになればと考え、市民協働のキャリア教育を一層進めるべきだと提案しまいた。

教育長は、学習と実社会とのつながりを意識する学びの機会を設け、自らの将来を結び付けて考えることができるよう、研修の充実に努めること、またふるさと高松に誇りと愛情を持ち、地域社会に生きる喜びを感じて郷土づくりに主体的に関わることのできる子どもたちの育成に努めたいと答弁されました。また市長からは、市民協働のキャリア教育の実施に取り組んで参りたいとの答弁されました。

本当に、大切な課題です。今後の高松市の取組みをチェックし、議会でもしっかりと問題を共有し、未来のための議論を重ねていきたいと考えています。


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