図書館のフロントは外部委託すべきではない!
先日の教育民生常任委員会での先進地視察の報告をいたします。
H22年11月8日(月)
町田市
・「誰でも、いつでも、どこででも」利用できる図書館がサービス理念
・町田市の立地条件から隣接市(相模原市、八王子市など)との相互利用をおこなっている。公共交通の結節点でもあるために利便性が高く他市民からの利用が多い。そのために、他市民へは制限を設けている。
・高松市とほぼ同じ人口で、市民一人当たりの貸出冊数は高松市の7冊に対し9.54冊。特出なのは予約数で高松市の約25万冊に対し73万冊、ほぼ3倍である。
・職員数削減の流れから、非常勤嘱託職員採用への切り替えが進んでいる。正規職員69人に対し89人。
・他市で行われている、フロント業務の外部委託には反対。自前で専門である司書職員が市民と接することが大事と熱弁。
・クレームの中に改善の種がある。
・2009年に「図書館利用調査」を行い、認識の違いを感じた。(高利用だと思っていたリクエストのことを利用しないと答えた人が4割もいることや、図書とAVの利用者が分離されていることなど)
感想:
・駅前(近郊)での民間施設に入居することにより、利便性・低コストが実現できている。
・ともかく、館長の熱意を感じた。本が好きで、読書活動推進に心から取り組んでおられた。
・専門職としての「司書」の重要性を再認識。1年更新の嘱託職員司書への対応が肝要。研修も正規職員との差異を設けず実施。主任嘱託職員制度などの実現を志向している。
・リファレンスコーナーに上質な感じを得た。図書館が知の集積であるという深さ。
H22年11月9日(火)
調布市
・「日本一の図書館に」と明確な目標を持ち、改善を積み重ねている。
・特徴として、分館網の整備が充実しており「歩いて行ける図書館の整備」に力が注がれている。誰でも気軽に利用できる市民の書斎との運営方針。
・「ハンディキャップサービス」が充実。高齢者、障害者へのバリアフリーへの取り組みが素晴らしい。職員体制として課を設け4名のスタッフとボランティアなどとの協働を大事にしている。宅配サービスの実施している。
・大映などが近くにあったことから、映画やドラマのロケ地となることが多い。この地域性を活用し映画資料を充実させている。
・閉館時間の延長や年間330日の会館。一回の貸し出し冊数を20冊にするなど、本の貸し出しに注力。市民一人当たりの貸し出しは13.51冊と高松市の2倍。その分読書スペースが少なく、人が滞在して読書をする空間作りではない。
感想:
・蔵書回転率(貸出数/蔵書数)の伸びよりも人口一人当たりの貸出冊数の伸びが高いことに注目し質問したところ、1回の貸出冊数の多さが要因なのか来館頻度が高いのかを尋ねたが、館長が「来館頻度が貢献している」との認識を示したことに感心。しかし、現地での視察時に貸出のシーンを見ていると貸出の点数が多いと感じました。
・ハンディキャップサービスに注力していることに感動。音声録音専用のスタジオが設けられていることやボランティアの方が専任スタッフと一緒になって協働する空間作りが素晴らしい。音訳・点字サービスだけではなくマルチメディアデイジーへの対応が進んでおり、ライブラリ点数は間違いなく日本一なのではないかと思われる。
・町田市と同じく、フロント業務の外部委託に反対していることに感心。
高松市の図書館も全国的にも良い成績ではあるが
日本一を目指すと、まだまだ行うことはあると学びました。
しかし、問題山積の教育民生常任委員会が担う分野の中で
図書館のあり方を調査するとした
議会運営には、大きな疑問を持ちます。